ソーシャルメディアにおける私的セルフ・ブランディング

May 09, 2011
僕が毎週発行しているメルマガ「コトラーから読み解く世界のマーケティング戦略」が、このほど
創刊10号を迎え、「ソーシャルメディアにおける私的セルフ・ブランディング」というコラムを書いた。
サンプルというワケではないが、非常に有用な内容になったので、ここで公開させていただく。


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◆コトラーから読み解く世界のマーケティング戦略    http://www.流.biz
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 2011/05/09     Weekly Mail Magazine by Makoto Matsuda
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2011年3月11日(金)の東北地方太平洋沖地震により
被害を受けられました皆様に心からお見舞い申し上げます。
一日も早く復旧をされますよう、お祈り申し上げます。
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■■ ソーシャルメディアにおける私的セルフ・ブランディング

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おかげさまでこのメルマガも創刊10号目となる節目にあるにも関わらず、
実は先週、着の身着のまま事務所から神戸の実家に帰省してしまったせいで、
本号では「私的ソーシャル・マーケティング論」なるものでもやってみようかと
思っていたのだが、残念ながら参考文献もてにしておらず、いまだに休みボケも
抜けきれていないのが現状で、こんな状態でも読者の皆様のお役に立てるコンテ
ンツをと思っていたときに、ふと思いつくことがあった。

それは、幸か不幸か私と仕事をともにしてくれた協力会社の方、かつての上司・
部下・同僚の皆が皆、どうも私が介在するとソーシャルメディアの使用率が高く
なるのである。トレンドに疎い元上司でさえも、今やヘビー・ユーズしているく
らいだ。

それではと、思い付いたテーマが「ソーシャルメディアにおける私的セルフ・ブ
ランディング」にしてみたのである。ここに「私的」とあるのは、私自身の実例
もふまえ、ゆるく言いたいこと言ってやろうじゃないかということなのである。

で、セルフ・ブランディングというと、かつては紙媒体を中心とするメディアの
門戸は固く閉ざされており、なかなか思うような雑誌や書籍などで自らのアイデ
ンティティを表明できるものでもなかったワケだから、持っているパッケージと
いえば名刺くらいのものであった。

ところが時代は変わり、少しの勇気と技術さえあれば自分自身のホームページを
つくって「自分メディア」としてしまうことができるようになった。もう、ここ
までくれば個人は自ずから自身のコンテキストをつくりだし、あらゆるメディア
に流通させることだってできる。

それは具体的にいったいどのようなことを意味しているのか。以下の橘玲さんの
記事と佐々木俊尚さんから拝借した氏の解釈をお読みください。

■Facebookと〈私〉 - 橘玲 公式サイト
http://t.co/vMEQQsg

■佐々木俊尚さんの解釈
 ここでは「オーディット社会」という概念が提示されています。auditという
のは会計監査のこと。ソーシャルメディア時代においては、自分の行動がすべて
可視化され、アーカイブされ、その人がどのような考えを持ち、どんな行為をし
ているのかがつねに他人の目にさらされる。つまりは上場企業が自社の財務諸表
などを公表し、自社が何をしている会社で、どんなことに専門的で何をしようと
しているのかと株主に説明しないといけないのと同じように、人は自分という人
間の属性や過去の発言などをきちんと公開し、他の人々に評価してもらわなけれ
ばならなくなる。つまりはそうした自分の行動履歴や属性などが、自分自身のコ
ンテキストであるということなのです。所属している会社というパッケージでは
なく、自分がどんな専門性を持ち、どんな仕事ができて、どんなことが語れるの
かというコンテキストで勝負する時代。つまりそういうコンテキストを他の人々
が判断し、「個人を監査する」というオーディット社会になっていくということ
です。

いかがだろうか。「所属している会社というパッケージではなく、自分がどんな
専門性を持ち、どんな仕事ができてどんなことが語られるのかというコンテキス
トで勝負する時代」。もちろん、言うなればそれは自己責任型の情報開示である
とが、この文章からお解りいただけたはずだ。

では、セルフ・ブランディングに話を移すと、まずは自分の能力の棚卸しをして
いただく必要がある。人に知ってもらえるようなコンテキストを、まずは戦略と
して固めないといけないのである。コレは企業における広告・PRともほぼ同じ
ことではあるが、概ね以下のガイドラインに沿ってアウトラインを形成してみて
ほしい。

■自分が戦うべきマーケット(戦場)はどこか?
■そのマーケットにおけるあなたの強みは何か?
■その分野でどのような専門的知識や技術を持っていか?
■自分がこれから磨くべき技能・知識は何か?
■自分はどのようなキャラクターであるべきか?

コレらが戦略の骨子となり、ブランディング目標となるゴールまで設定する。こ
こまで来れば、いよいよ投下すべき情報の特性を把握し、自分の情報を流通させ
るソーシャルメディアの選定に入るワケだが、一つ留意すべきことがある。それ
は情報を流通させる上でも「ファインダビリティ」に気をつけるということ。
ファインダビリティとはSEOにおける用語でもあるが、要は「見つけやす
さ」。一つ一つのコンテキストが秀逸だったとしても発信者の「ファインダビリ
ティ」が悪ければ、その発信者のもとにフィードバック・ループ、つまり問い合
わせであったり、注文などが入ってこないことになる。

だから、カンタンなことではあるが、ホームページをつくって連絡先をキチンと
記載しておく、情報を流通させるメディアのプロフィール欄に連絡先を記載もし
くはリンクしておくということは絶対にしておいた方がよい。

で、私の場合はというと、その逆を突いた。戦略としては、
「松田真実の強みは人を驚かせる企画力にあり、戦うべき主戦場はメディア・プ
ランニングの場である。海外含めてメディア動向には詳しく、そこに働くメカニ
ズムもよく理解できる。だから、海外メディアや新サービスに関する情報の解
説、批評を中心に情報を流しながら、自社で企画したメディアに関する情報も盛
りこんでいくことで、メディア・プランナーの第1人者になる(はっきり言って
いないんですよ、今)。キャラクターは多方面の領域に詳しくも茶目っ気ある若
手CEOである。」というものになった。しかし、決して仕事の安請合いはした
くなかったし、ある種、高級感あるブランドは確立したかったので、自社ホーム
ページはFlashの粋を結集して「解る人には解かるけど、解らない人は最初から
アクセスさえできない」サイトをつくったのである。余談ではあるが、僕は名刺
に携帯電話の番号のみでメールアドレスを記載していない。メールアドレスでの
やり取りは基本的に時間を取るので、基本的には用があるなら電話をしてくれと
いうスタンスなのだ。

さて、ここからがいよいよメディア・プランニングになる。現在のところ、セル
フ・ブランディングの場に相応しいメディアを挙げると、おおまかに以下のよう
なものである。
■Twitter
■Facebook
■Mixi
■ブログ
■メルマガ
■YouTube

さて、ここに「つながり」が必要な媒体/必要ない媒体という媒体特性と難易度
という参入障壁がある。「つながり」とはTwitterにおけるフォロー/アンフォ
ローという一方向的なものからFacebookのように相互承認制のものまである
が、人とつながって初めて意味を成す媒体が存在する。さて、もう一つの軸が難
易度であるのだが、コレは媒体の特性によっては運営していく上で要す労力がき
わめて小さくてすむものがあるということだ。たとえばTwitterはわずか140文
字での情報流通のため、労力が小さくて済む。翻ってブログであれば、ある程度
の文字量がないと体裁を成さないという問題もあるのだ。

それとは別に、インターネットに対してオープンか/クローズドかという媒体特
性と、ストック型/フロー型という媒体特性があり、言うまでもなくストック型
というのは投下した情報がそのサイト内に蓄積されること。逆にフロー型という
のは蓄積されることなく、投下した分だけ消えてしまう。コレに関してはブラン
ディング上の問題とは別に、備忘録や評論文として二次利用ができるので、後々
役に立つことがある。インターネットに対してオープンであるということは新た
なユーザーを集める上で非常に重要なことであり、たとえ大規模なソーシャル
ネットワークであったとしてもインターネット人口の全てをカバーしているわけ
ではないということにご留意いただきたい。

で、先述した「つながり」が必要な媒体/必要ない媒体という媒体特性と難易度
という参入障壁をマトリックスで分類すると、

      低難易度      高難易度

つながり型 Twitter      メルマガ
      Facebook
      Mixi

独立型   YouTube      ブログ

という風になるワケだ。さて、ここから自分のワークスタイルに合わせて媒体を
選定していくことになる。ここで多くの方が選択されるのが、「つながり型」で
低難易度のTwitter、Facebookとなる。同じ「つながり型」であるMixiは、先述
したようにクローズドであるがゆえに、情報探索に多くの時間を使ってしまうこ
とになるのである。また「独立型」のYouTubeも、画面に向かって一人で喋る
ことになるから、低難易度とはしたがかなり敷居が高い。という、除算方式でや
ると大体がこんな感じになる。マーケティング的な観点から行くとYouTubeな
んかは非常にアグレッシブで高効果が期待できる面白いところではあるのだが...

ここでは多くの方が実際に使われているTwitterとFacebookに絞って話を進め
る。まず一番最初にやることがプロフィールの登録とアイコン写真。プロフィー
ルについては先述したとおり、連絡先がわかりやすいように記述する。問題はア
イコン写真だ。コレは企業ロゴと同じでそうそう変えるものではないということ
をよく認識しておかなければならない。せっかく有名人にフォローしてもらえた
のに写真が変わってフォローを外された(アンフォロー)なんてのはよくある話
だ。そして、デザイン。コレは企業も一緒で一番お金を使いたがらないところ
だ。だが考えてみてほしい。あなたが誰かを無作為にフォローするとすれば、ど
のようなアイコンを選ぶだろうか。意外性があり、遊び心があり、デザインセン
スの良さそうなアイコンを選ぶはずだ。なのに、ここに気を使わない人の、なん
と多いことか...。なので、他者との差別化も込めて、できるだけあなたの感性で
アイコンを作りこんでほしい。ホントにアイコンひとつで反応率が変わると言っ
てもいい。で、できるだけ変えない。

ここからの話は、あくまでコレらのWebサービスが日進月歩で変化しているこ
とを前提に話を聞いてほしい。どちらのネットワークも「つながり型」なので、
人とつながらなければ意味がない。そう思い、フォロー返しを期待して
(Facebookは相互承認制だが)、より多くの人をフォローしようとする。で
も、よく考えて欲しい。フォローするというのはWebマーケティングでいうな
らリンクを張る、フォローしてもらうことでリンクが得られるということなの
だ。僕はSEOのスペシャリストとしての観点から申し上げるが、SEOにおいて
はリンクの数よりもリンクの質が重要なのだ。TwitterもFacebookも、Webの中
のWebなのだ。ユーザーの人たちの中には著名人・有名人もいて、彼らがいわ
ゆるオーソリティだ。彼らからフォローしてもらえれば今後のセルフ・ブラン
ディングも安泰なのだ。さらに言うと気を付けないといけないのが、フォローし
てくれた人たちが、自分と同じ領域の人たちなのかということ。同じ業種、趣向
性を持って、内容の濃いキーワードを多く発しているか。そして、その人たちを
さらにフォローしている人も同様かどうか。コレをSEOではディープ・リンク
という。とにもかくにも自分が発する情報、フォロワーやフォローしている人た
ちとのやり取りで必然的に付いてくるものなので、ぜひそのことをよく理解した
うえで実践していただきたい。両プラットフォームとも、遅かれ早かれ、このよ
うなアルゴリズムに基づいてあなたのアカウントを計算し始めることは必至であ
る。その時までに、あなたがオーソリティになればいい。

さて、最後に個人的な実例を紹介したい。基本的な原理はまったくそのままに行
動している。ただ私の場合、厄介だったのがメディア・プランナーであると同時
に、レコード・コレクター/DJという一面も持っているということだ。このよう
に背反するアイデンティティを持っていては、フォローしてくれた人にも申し訳
ないし、セルフ・ブランディングとして機能しない。そこで私の場合は、本業の
ビジネス関連についてはTwitterを、音楽関連についてはFacebookをとアイデン
ティティを切り分けている。僕は音楽配信サイトも運営していて(http://
www.illbeatnik.com/)、ターゲットも全世界なのが奏功した(Facebookユー
ザー6億人のうち、日本人は未だ500万人程度)。Facebookページを活用するこ
とで、この音楽配信サイトにも相当な数を送客している(ここらへんのことは次
週にでもご報告します)。で、現在のところ、僕はFacebookについては、国内
で活動する場合にはあまりオススメしていない。その理由として、Twitterに比
べてまだ日本人登録者が少ないということと、その日本人登録者のアクティビ
ティが非常に少ないという点で露出が小さいのだ。正直なところ、語学学習など
海外の人とのやり取りがない場合には、Twitterに専念するほうが幾分か効率的なのだ。

以上、今回はここまでです。いかがだったでしょうか。さて、次週も内容を大幅
に変えてのお届けとなります。次々号で通常の内容に戻りますので、ご了承くだ
さい。本メルマガも、まだまだ序章に過ぎません。ぜひ、一緒にコトラーの真髄
に迫っていきましょう。次号もご期待ください。

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